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Deck Tech: 三島 尚大(京都)の「青黒ナイトメアフェアリー」

2017年05月07日(日)14:43 大会・イベント
by Hiroshi Okubo


 フェアリー。

 『ローウィン』に端を発したそのアーキタイプは一時代を築き上げた。

 《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》に《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》といった瞬速+ETB能力による妨害の組み合わせは数多くのプレイヤーに忘れがたい記憶を――悪夢を見せてきた。

 何も呪文が通らない、そもそも土地がタップされてしまったり手札をボロボロにされてしまって呪文を唱えることさえできない。

 そんなゲーム展開が相次ぎ、プレイヤーは狂乱した。当時のメタゲーム上のフェアリーデッキはあまりにも支配的な存在だったあまり、露骨なメタカードである《火山の流弾/Volcanic Fallout》や《大貂皮鹿/Great Sable Stag》などが刷られたほどだった(それらが刷られた後でさえも、《稲妻/Lightning Bolt》や《炎渦竜巻/Firespout》のために赤を足したグリクシスフェアリーが生き残っていた)






 そして、そんな圧倒的な支配力を見せていたデッキだからこそ、一部に熱狂的なファンも存在している。

 今回のインタビューに登場する三島 尚大(京都)はまさにそんなフェアリーフリークの1人と言えるだろう。

 「グランプリ神戸チャレンジモダン」で青黒フェアリーを操り華麗に戦っていた彼に、モダン環境における「青黒フェアリー」について伺った。



三島 尚大(京都)


--「三島さんはなぜフェアリーデッキを使い始めたのでしょうか?」

三島「僕は『基本セット2010』の頃にマジックを始めたのですが、当時のフェアリーデッキは本当に強くて、憧れの存在だったんです。ただ、当時は学生だったこともあり《思考囲い/Thoughtseize》や《苦花/Bitterblossom》、《変わり谷/Mutavault》といった高額なカードを集めるのはなかなか難しくて……それから数年経ち、モダンで《苦花/Bitterblossom》が解禁されたころ、あの頃憧れていたあのデッキを組んでみたい、と思ったのがきっかけで、それからずっとフェアリーを使い続けています」

--「『基本セット2010』というとちょうど《大貂皮鹿/Great Sable Stag》が刷られた頃、フェアリーの全盛期ですね。しかし《苦花/Bitterblossom》が解禁されたのも今から3年以上前ですし、それからずっとフェアリーを使い続けるというのは相当な愛好家だとお察ししますが、それだけ魅了されるこのデッキのポイントは一体何なのでしょうか?」

三島「やはりゲーム中に採れる選択肢が多いことが最大の魅力の一つだと思います。《苦花/Bitterblossom》を設置して盤面をコントロールしていくうちに勝てたり、クロックパーミッションとして振る舞って地道にライフを削ったり、押されている状況でも《謎めいた命令/Cryptic Command》や《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》で凌げだり。青黒の2色ながら、できることが非常に多岐にわたっているという点が好きです」

--「なるほど、たしかにゲームプランは様々な。次に構築についてお伺いしたいのですが、三島さんのこだわりのカード選択などは何かありますか?」

三島「メインボードの《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》2枚です」





三島「サイドボードに採用されているリストはあるのですが、僕はこのカードをメインボードで採用しています。ジャンドやグリクシスなどフェアデッキに対して非常に強い1枚で、時にクリーチャー除去が効かない《誘惑蒔き/Sower of Temptation》のように機能してくれます。このカードのおかげでコントロールプランを採った場合でも勝ち筋が強固になり、一度マウントを取れば速やかに勝つことができます」

--「《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》だけでなく、《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》も入っていますね」

三島「ええ、メインボードに1枚だけ採用しています。これらのプレインズウォーカーを《苦花/Bitterblossom》と除去、カウンターで守り続けて奥義でゲームセット、という展開もしばしば発生するので、現在の構成だとプレインズウォーカーコントロールのような面も強いです」

--「《苦花/Bitterblossom》は攻撃だけでなく防御面でも強力な役割を担っているんですね。しかし、フェアリーというとここ数年新しい強力なフェアリーは刷られておらず、もうすっかり過去のデッキという認識があります。実際のところはどうなのでしょうか?」

三島「たしかにフェアリーの部族シナジー自体は特に変化していないのですが、《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》や《集団的蛮行/Collective Brutality》、《致命的な一押し/Fatal Push》といった黒い強力なカードが増えてきたことは追い風です。特に《集団的蛮行/Collective Brutality》はバーン相手にサイドインすることが多いのですが、これ1枚でこれまであまり有利のつかなかった対バーンの相性が劇的に改善されました」

--「たしかにいずれのカードも非常に強力ですね。『アモンケット』のカードでは何か注目されているカードはありますか?」

三島「現在はソーサリースピードのプレインズウォーカーを主軸に据えた構成なのであまり噛み合いませんが、単純に《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination》は腐りにくいアドバンテージカードとして強そうです。あとはグリクシスコントロールなどに対するサイドカードとして《周到の神ケフネト/Kefnet the Mindful》も強そうですね」

--「ありがとうございます。最後に、フェアリーデッキを組んでみたいという方にメッセージがあればお願いします」

三島「常に相手のゲームプランに干渉しながら戦える楽しいデッキではありますが、フェアリーデッキを使う方はあまり多くはないので、まだまだ構築の余地がたくさん残されています。みなさんもぜひフェアリーデッキを使ってネットにデッキリストを載せて、一緒に研究していきましょう!」


 対戦相手のゲームプランとダメージレースにインスタントスピードで介入し、止まらない飛行クロックで攻め立てる、厄介この上ないフェアリーデッキ。長らく表舞台で見られないデッキではあったが、近年の強力なスペルのバックアップによってひそかに強化を遂げているようだった。

 マイノリティだからこそ、互いの技を磨くことに喜びが生まれる。もし興味があるという方は、他のフェアリー愛好家のためにもぜひ一度フェアリーデッキを手にしてみてほしい。






三島 尚大 「青黒ナイトメアフェアリー」



3 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
2 《湿った墓/Watery Grave》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
3 《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》
3 《闇滑りの岸/Darkslick Shores》
3 《人里離れた谷間/Secluded Glen》
4 《変わり谷/Mutavault》
土地(24)


4 《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》
2 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
2 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
2 《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》
1 《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
クリーチャー(11)


4 《致命的な一押し/Fatal Push》
4 《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《マナ漏出/Mana Leak》
1 《喉首狙い/Go for the Throat》
3 《謎めいた命令/Cryptic Command》
1 《残忍な切断/Murderous Cut》
4 《苦花/Bitterblossom》
2 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
1 《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》
呪文(25)


4 《広がりゆく海/Spreading Seas》
2 《対抗突風/Countersquall》
2 《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1 《外科的摘出/Surgical Extraction》
2 《集団的蛮行/Collective Brutality》
1 《喉首狙い/Go for the Throat》
1 《滅び/Damnation》
1 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
サイドボード(15)



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